お母さんになる前に、腸内環境を整える【分子栄養アドバイザーによる大人のイキイキ腸活通信vol18】

腸内環境を整えることは、老若男女に有益です。が、特にいずれ出産するかもしれない女性には、声を特大にして腸活をお勧めしたいです!

なぜなら、母の腸内環境は子に伝わるから。つまり、産む前に腸内環境を整えておくことは、自分のためになるだけでなく子どものためにもなるんです。自分1 人分の腸活にかかるコスト(お金と時間と労力)で、人間二人分のリターンがあるなんて最高ではないでしょうか(コスパいいの大好きです( 笑) )。


では、腸を整えることで得られるリターンは何でしょう?腸のメインの仕事は、①体やエネルギーの材料を取り込むこと(消化吸収)と、②体を外敵から守ること(免疫)。ですから腸を整えると、健康の維持に働くのはもちろん、“必要な栄養の不足”や“不要なものの排泄不足”が一因になって起こっている不調(例:疲れやすい、肌荒れ、太りやすい、風邪をひきやすいなど)の改善にまで繋がり得ます。


これらを自分と未来の子供にプレゼントできるのが、今後出産する可能性のある方なんです!ちなみに、母の腸内(膣内)細菌が子に渡されるのは、出産時つまり赤ちゃんが産道を通るときです。

ここで、母の腸内環境と子の腸内環境についての研究をいくつかご紹介しておきます。

  • 妊娠中の母親の食事は、乳児の腸内細菌叢に影響を及ぼす(Microbiome. 2018 Jul 5;6(1):109. )
  • 妊娠中の母マウスが受けたストレスは、母マウスの膣内細菌の変化を通じて、子の腸内細菌の組成に悪影響を及ぼした。また、子の神経発達にも影響を及ぼす可能性がある。(Endocrinology. 2015 Sep;156(9):3265-76. )
  • 経膣分娩で生まれた子に比べ、帝王切開で生まれた子の内は、良性菌の多様性が少なく、免疫関連物質の血中濃度が低かった。(Gut. 2014 Apr;63(4):559-66. )

そして出産という大仕事の後、ぼろぼろになった体を回復させる時にも、腸が大活躍してくれます。出血などで失った栄養を体に取込むのは、腸ですからね。

妊娠中や産後はそもそも必要になる栄養量が多く、栄養不足になりやすい状態です。実際、日本人の食事摂取基準(厚生労働省)では、妊娠中や授乳中は、鉄、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB1やビタミンDなどを通常より多く摂取するよう推奨しています。

そして、栄養不足は不調に繋がります。例えば、産後鬱の一因は亜鉛不足だ(同時に銅過剰)とする説があったりします(過剰な女性ホルモンが亜鉛と銅のバランスを崩すため)。


これはほんの一例ですが、将来的に妊娠を考えていらっしゃる方は、未来の子どもやご自分のためにも、今から腸を整えておくと良いことだらけですよ!

この記事を書いた人

table project代表 分子栄養アドバイザー 
夏木彩早 
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九州大学卒業。臨床分子栄養医学研究会認定指導カウンセラー。長年のニキビや腸過敏で悩み、健康食を研究しまくった末、分子栄養学に出会う。「体調不良に邪魔されず、自分らしく生きる人」を増やすべく、2018年に起業。延べ500名に、科学的な健康食を伝えてきた。現在は、分子栄養学をベースに考案した「個人差食事メソッド」を使い、不調に悩む女性や、専門家向けの講座を運営。天神ホリスティックビューティークリニックでの栄養指導等もおこなっている。